僕は夢を見た、こんな満開の桜の樹の下で
去年の11月の「夕鶴」以来のオペラを見てきた。主役の樋口達哉さんが目当てである。相変わらず樋口さんのテノールはすばらしく、朗々とホールに響いていた。脇を固めている方もすばらしく、とてもいい公演だった。
題名を見てわかるように坂口安吾の「桜の花の満開の下」が主なモチーフになっている作品だ。妖しげな桜の樹の下で全編が展開する現代オペラだ。主人公は現実から夢の世界へ誘い込まれ、何でも思うとおりになってしまう夢に疑問を持ち、また現実へと戻ってくる。
こういうと幻想的で難解な作品かと思われるかもしれないが、そんなこともなかった。閉塞的な状況を突破しようとして、結局は失敗してしまう青年の話だが、フリーターやニートの問題、バブルの崩壊など現代的な題材を扱っていた。また、仮面ライダーのショッカー、スターウォーズのジェダイやレイザーラモンHG(RG?)を思わせる小ネタの数々が随所にちりばめられて、オペラを知らない人でも楽しめる仕掛けが満載だった。
こういう日本語のオペラがどんどん出てくれれば、日本の音楽の裾野も広がるのではないかと思う。

