2005/11/19 土曜日

後ろ向きに歩く人々??

Filed under: 海外 — 滝太郎 @ 18:44:51

 8年ほど前のことになる。そのころ、中国の黒龍江省の寧安という町に住んでいた。黒龍江省の中では比較的南部だったが、日本で同緯度というと北海道の名寄あたりになる。大陸のしかも内陸部なので日本よりはいくぶん寒く、冬になると−10度〜20度ぐらいにはなった。町を普通に歩いていると、鼻毛がパリパリしたり、上下のまつげがくっついて目が一瞬開かなくなることもあった。

 これだけ寒いのだが、おじさんおばさんたちは露天で一日中商売をしている。ただただ凄い。笑ってしまうのは、アイスクリームが露天で冷凍庫なしに台の上に置かれて売られていたこと。あんたらこれだけ寒いのに喰うんかい、アイスクリームを(^_^;。ま、部屋の中暑いからな。おれも半袖でいるし。

 中国では一月後半から春節(旧正月)の休みで、おれも2月末まで休みだった。2月は日本に帰ろうと思っていたが、中国の正月も見たいのでしばらく暇つぶしに旅行をすることにした。

 とりあえず火車(汽車)に4時間ほど揺られ、省都のハルビンへ行った。ハルビンは町全体が凍っていて、氷灯祭という氷の彫刻の祭りが行われていた。夜は彫刻の中に入った電灯がつけられ、きれいといえばきれいだけど、けばけばしさのほうが目立った。

 ハルビンに行ったところで、もっと北に行ってみたいと思った。ここから北というとロシアしかない。ハルビンにもロシア人がたくさんいた。といっても、ロシアのビザは持っていないので、ロシアへは行けない。そこで黒龍江(アムール川)沿いの黒河へ行くことにした。

 火車の切符を購入し、一晩かけて黒河へと行った。駅にいたタクシーのおじちゃんに外国人が泊まれる安めのホテルへ連れて行ってもらった。暖房がしっかりしていたのでそこに泊まることにした。冬にロシア人以外の外国人が来るのは珍しいらしく、いろいろとホテルのフロントの人に話し掛けられた。

「何しに来たんだ。」
「特に目的はない。ただ、寒いところが見てみたかったんだ。」
「あんまりおもしろいところはないぞ。」
「街中を歩いたり、川を見にいったりするよ。」
「もの好きだな。」

 黒河は清朝時代に対ロシアに対峙する拠点として作られたアイグンが元になっている。現在では対岸のロシアのブラゴベシチェンスクという町との間で貿易が盛んに行われている。特に川の凍る冬場は車が通れることもあって、行き来が増えるそうだ。実際、かなりたくさんのロシア人が買い物に来ていた。

 ホテルの部屋でしばらく休んでから、町の中をぶらぶら歩き始めた。寒くて周りがすべて凍りついていること以外は普通の中国の町。とにかく町並みは中国はどこへ行っても画一である。規格ものが多いのだろう、こういうところは経済を開放したとはいえ社会主義の片鱗をうかがわせる。

 黒竜江(アムール川)はバリバリに凍って、平気で歩けた。中央が国境線だそうで、ものものしいのかと思ったら簡単に歩いて行けてしまった。

 すべてが凍りついている川をしばし眺めながら、氷がとけて川岸の柳が風に揺れる夏を想像してみた。川はいろんな想像をかきたてる。たくさんの人が行き来したのだろうと。また夏に来て、カヤックで旅してみたいと思った。

 町を歩いていて、不思議に思ったことがあった。人が後ろ向きに歩いていることだ。何をやっているのだろう??後ろを向いて数十メートル歩き、進行方向を確認し、また後ろ向きに歩く。そういう行動を繰り返している人が全体の3割ぐらいはいた。

 よく観察してみると、そういう人は必ず同じ方向に進んでいるのだ。何でだろう?

 彼らと一緒に通りを歩いたら、答えがわかった。彼らは風に向かって進んでいたのだ。完全防備はしているものの、顔はどうしても出てしまう。風上に向かうと顔が寒い。寒いを通り越して、痛かった。それもそのはず、部屋に帰ってテレビを見たら天気予報でその冬一番の寒さで−40度を越していたそうだ。

 しかし、外の人間から見ると珍妙にしか見えないけれど、ちゃんと意味のあるものなんだなあと感心してしまった。

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